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評価:
柳 広司
角川書店(角川グループパブリッシング)

「このミステリーがすごい2010年版」第2位。

「魔王」、結城中佐ふたたび。
陸軍内部の弱みをも握る結城中佐率いるD機関に対抗して、組織された「風機関」。どちらがその存在を知らしめるのか…「ダブル・ジョーカー」

何といっても、表題作が面白くわくわくしましたね。
スパイ対スパイというシチュエーションが何と言ってもすごいです。まさに食うか、食われるかの緊迫感が実にいいですね。
まあ、結果は予想通りなんですが。

戦局は次第に悪化、大陸に侵略の手を伸ばす日本。今回の舞台も上海、インドシナ、ドイツ、そしてロサンゼルスとD機関の暗躍がありますが、日本の結果を知っているので、その崩壊はどう描かれるのかと逆に、期待させてくれますね。
本当の正体を一生知らさないまま、自分を偽り、スパイとして生きていく彼ら。そうした悲哀も少し描いてほしいなと思うのは私だけでしょうか。

こうなったら、「魔王」の最後まで描いてほしいです。
タイトルはもちろん、「ラスト・ジョーカー」でどうでしょうか?
お願いします、柳さん(笑) 

評価:
大島 真寿美
角川書店(角川グループパブリッシング)

友だちでも親友でもない。同僚でもなく、仲間でも、同級生とも違う。
しいて言うなら戦友。漫画家を目指していた佐紀。編集者玖美子との出会いは、漫画家から作者の道を選ばせる。一緒に戦ってきた玖美子は不意に病に倒れ、この世から去ってしまう。佐紀にとってかけがえのない戦友を失った時…。

瑞々しい文章に定評のある大島さんですが、この作品もいいですね。
自分を見出してくれた、玖美子は佐紀にとってかけがえのない、存在だったのですね。ある日突然、そんな彼女がいなくなった。
失望と、虚脱感。そして、スランプ。
そこから、ゆっくりと、再生していくんですね。

友人や家族の死がもたらすもの。
それぞれに、余韻を残しながら、それでもわたしたちは生き続けねばなりません。亡くなった人たちの言葉や遺していったものを思い出しながら。

そんな佐紀の言葉にこんなのがあります。
「つまらない生活がつづく明日のために、今夜も眠りにつく」
「何事もなく、平凡な一日を終えられたらいいのに…どうしてそれっぽっちのことがかなえられないのだろう」
はっとする文章が多数。

そして、先輩の律子さんに、
「長い長い喪中だったね」と言われ、自分のスランプに気付くんです。それに続くラストを見よ。何とはなしに元気になれるから不思議。

佐紀を通して、わたしの人生の中の死を思い起こし、でも人は生き続けることを教えてくれました。だから、やはり、今が大切なんですね。
実に余韻の残る作品でした。
大島さんのベストですね。
余談ですが、「ほどけるとける」と繋がっています。懐かしかったなー。

意外や意外、久保寺さんの今までの作品からは想像できない、リアリティ。
少しファンタジーがかかった作品が多かったのですが、この作品はそれがなかったですね。久保寺さんの新境地といったところでしょうか。
わたしは、買いです。面白かった。

この作品集は、「はじめて」がテーマ。
10代から60代までの初めての経験を、滑稽に少し感傷的に、描いているところがミソでしょうか。
そんな6編の短編集。内容は、
(20代)新米の先生が担任を任され…「先生一年生」
(30代)四歳の娘が一人で公園に出かけたいと言い出し、それを守る父親…「はじめてのおでかけ」
(40代)運動会で負傷した息子の代わりにリレーのアンカーを務めることになる…・「ラストラ40」
(50代)異動してきた佐久間さんがなぜか気になる。事情があるというが…「彼氏彼氏の事情」
(60代)はじめて、山歩きのサークルに参加。何と遭難!?…「ある日、森の中」
(10代)母親の入院の間、伯父と一緒に暮らすことに。そこで教わったもの…「さよならは一度だけ」

どれもが「はじめて」の体験です。「先生一年生」の空回り。「はじめてのおでかけ」の親バカぶりに笑ってしまいました。どれも、颯爽たる気持ちにはなれないけど、一生懸命さがすごくいいんですね。
一生懸命さでは「ラストラ40」。リレーのアンカーですものね。なぜ走るということは置いといて。ちゃんとライバルもいたりして。良かったです。
はじめてだけに、その一生懸命さが伝わってくるんですね。

最後の話の「はじめて」は小学生にはきついかな。でも誰もが一度は経験することなんですけどね。あまりいい気持ちにはなれなかったなー。

はじめてだけにね、最後は「開けゴマ」の心境なんですね。「ええい、くそ」なるようになるんです。
覚悟をきめて、一生懸命になる時、道が開けることもあるんですよね。
一生懸命にやればね。そんな気持ちにさせられた作品でした。
久保寺さん、やりますねー。

評価:
吉田 修一
毎日新聞社

2010年本屋大賞第3位。

職場の本好き仲間Wさんに借りた本です。Wさんありがとう。たぶん、このブログ、知らないだろうけど…。

新幹線の中で泣いてしまいました。悲しい涙じゃなくて、どちらかというと、清々しい涙かな。
こんなに主人公が憎めず、愛しく思った作品はなかったですね。

大学に合格し、上京。親元を離れてからの新生活の1年が描かれます。
何かを見つけ、学び颯爽とした大学生活とは程遠い、あるがままの気持ちのまま、サークルや勉強や、バイトなどなど。飄々としたあっけらかんとした世之介がいとお愛しくなってくるんです。何せ、サンバサークルだもの(笑)

そんな1年間の人々との出会いや自分を見つける1年間が、さりげなく描かれています。祥子ちゃんとのエピソードが何とも印象的。
それが世之介にかかわる、現在につながっており、世之介の生き方をも決定しているというところが、まず感動。そして、悲しいけど希望あふれる展開が、清々しい気持ちにさせてくれるんでしょうね。

この主人公を決して忘れることはないと思います。笑えて、懐かしさがあって、そして、泣けるこんな作品はめったにありません。凄くて、素晴らしい青春小説に溜息さえ出ました。
それにしても、泣けました。

吉田さんの新境地ともいえるこの作品、凄すぎます

あの多田と行天が帰ってきた。
まほろ駅前にある便利屋の、痛快コンビ再び。今回は前回の脇役たちにもスポットをあてて、まさに番外編。しかし、このコンビは相変わらず絶妙です。家族関係でも友人関係でもない、高校の同級生にすぎない相手なのだが、切っても切れない相手なんですね。

脇役たちがおかしいんです。ルルとハイシー。
完璧主義者のやくざ、星。
市バスの間引き運転をチェックする岡家。
そして、ユラコー。前作の登場人物が前回よりもパワーアップして帰ってきてます。特に星は…、強烈。完璧な生活とヤクザというギャップが本当に可笑しいんです。それに便利屋が絡むという、まさにこれ、マンガを読んでいるような気がしてきました。
その辺は、マンガ好きのしをんさんならではですよね。

多田の恋あり、行天と多田の過去もあり、続きを予感させる展開。
やはり今後が気になるシリーズです。
早く出してほしいなー。またこのコンビに会いたい。

JUGEMテーマ:読書

上役ともめ、ぶんなぐり左遷された25歳の畔木。左遷された先は、会社も持て余すほどでかい、旧家の管理人。そこで、出会う人々と坂城部長の手を借りて、一大プロジェクトを企画するのだが。
 
庭の手入れをし、壊れたところを修理していくんですが、自分に合っていることを見出します。
出会う人々が可笑しいんです。
元ウインブルドンテニスプレーヤーのおじいさん。天才ピアノ少女。変な調律師。そして、なぜか長居する、坂城部長。一番変なのは、一緒にやってきた美咲。将来結婚する気があるも、なかなか煮え切れない畔木なんですね。

一人ひとりの過去や現在の境遇が書かれていきます。坂城部長も、畔木も悲しすぎる過去を背負っています。
しかし、美咲の過去がイマイチよくわからんなー。どうやら施設を抜け出して、畔木君のところに行き倒れたようなんですが…。
良く考えてみると、この作品に出てくる人はみんないい人なんですね。

それが作品自体に安心感を与えることにもなっているし、悪く言えば、意外性がなかったようにも思えます。
ラストは、やはり、こうきたかという感じで、まずは大団円ですが。やはり、意外性が欲しかったな〜。

COW HOUSEというネーミングもおかしいんですね。これは敢えてふれませんが、これほど題名と中身が違っている作品も珍しいかもです。

こんな家に住みたいし、こんな人たちに出会いたいとも思えます。が、結局、現実感がなくて、夢物語としか言いようがありませんね
こう書くと、悪いところばかりと感じられては困りますので、書きますが、内容は面白いですので、念のため。

ただ内容の割に、胸に響かないライトな作品だったというのが、一番の感想でしょうか。
あっ、そうそう、おじいさんと畔木の会話が絶妙でした

評価:
初野 晴
角川グループパブリッシング

JUGEMテーマ:読書

 チカは高校一年生。廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。ハルタはチカの幼なじみ。吹奏楽部のホルン奏者。廃部の危機に直面しつつ、日々練習に励む二人。しかし、校内の難事件に次々と遭遇するはめに。存続をするために、二人は難事件を解決しなければならないのだが…。

化学部から盗まれた劇薬の行方を追う「結晶泥棒」。
六面全部が白いルービックキューブの謎に迫る「クロスキューブ」
謎の色エレファンツ・ブレスを探せ!「エレファンツ・ブレス」
あと、表題作の4編が収められています。

これ、青春ユーモアミステリというジャンルなのでしょうけど、ミステリ部分が思いのほかしっかりしています。
表題の「退出ゲーム」はその代表作かもしれませんね。サックス奏者引き抜きのために、対決することになった演劇部と吹奏楽部。演じるのは、登場する人物を退出させたら勝ちという即興の劇。これがめちゃくちゃ面白い。
知恵を働かせ、役者を演じるチカとハルタと演劇部。頭脳戦を制するのは…。
これだけでも読んでみる価値あり。しっかりミステリしています

このチカとハルタの二人の掛け合いが絶妙なんですね。先輩や生徒たちは変な人ばかりだし。笑えますねー。
二人が思いを寄せるのは同じ人という設定もかなりおかしいです。ハルタがその人を見る目に、嫉妬するチカ。大笑いしてしまいました。

どうやら、続編がもうすぐ出るんですね。笑えるばかりではなく、切なさも、喜びも含まれ、社会的なことも含まれているんですから、まさにミステリの醍醐味と言っていいでしょう。

評価:
アラン ベネット
白水社

JUGEMテーマ:読書

飼い犬が縁で(もちろんコーギー)、読書に目覚めた現女王エリザベス二世。次第に読書が彼女を変えていきます。喜びや疑問、そして自分の人生とは何なのか。

英国でベストセラーになるというのもうなずけますね。何といっても、主人公は現女王エリザベス2世。80歳にして読書に目覚め、公務もそっちのけで、読書にはまってしまうという設定が、ウイットとユーモアに富んでますね。
特に馬車に乗って、窓から手を振りつつ、本を読んでいるというのが、おかしくて。かといって、笑えないんですよ。だって、ここまで本読みの気持ちが書かれているものないんですよ。

「本は暇つぶしじゃない。別の人生、別の世界を知るためのものよ。もっと暇が欲しいぐらいよ」
「ほんというものが行動のきっかけになることはありません。決意に裏付けを与えるものなのです・・・本はいわばけりをつけてくれるのです」
など、本読みにとっては共感できるものばかりです。
思わず、そう、そうなんだよと肯いてしまいました。

そんな女王も公室から、公務の妨げを心配して、「アルツハイマーでは」という噂が広がっていきます。相変わらず、読書を続ける女王のある決断とは。これまた凄い。

いやー、ベストセラーというのもわかりますね。
こんな女王なら愛されると思いますねー。
まさにこの作品、本読み必読の書ではないでしょうか。

そうそうタイトルが絶妙だとは思いません?
ぜひぜひ。

JUGEMテーマ:読書

 OL、母親、料理家、看護婦など、人々の日常の一部分を切り取り、「旅」をモチーフにした短編集。
12の短編の中に、きっとあなたや私もいる。

胸にしみ入ってくる作品ですね。短編のどこかに、昔、感じた思いや体験がひも解かれてきます。懐かしい顔も浮かんできます。いったい今どうしているのだろう。そう感じてくる作品集です。

宮下さんの繊細で、何と言うのだろう、五感を刺激されるような心地よい文章が癖になりますね。たとえば「昔聞いた雑音混じりのラジオ」「秋刀魚を焼く煙と匂い」「うぐいすの囀り」など、この作者ならではの感性と文章の表現力が何ともいいです。

また「旅」の雑誌に掲載されたこともあり、「旅」がモチーフにもなっています。田舎のあの街や、遥か彼方の知らない町など、旅したいなーと感じる作品集です。
作品自体のつながりもあるので、連作の短編集と読んでみるのも面白いです。あれ、ここつながっているなんて、後から探してしまいます。

「スコーレNo.4」以来、長いこと待たされましたが、これだけ充実していれば、待ったかいがあったというものです。
一つひとつの話を、もう1回読みたくなりますね。決して、大きな感動が押し寄せる話ではないんですが、しみじみと胸に来るんですよ

好きな話は「アンデスの声」「白い足袋」。
あまりに短編なので、あらすじを書くことはしませんが、「アンデスの声」のラストから、懐かしさが押し寄せてきました。
「白い足袋」は友人への思いと、主人公の一生懸命さが共感を持てます。
きっとどこかにあった日常。そして、瑞々しい感性から引き出された文章から、現実の私たちの生活が引き出されます。
いい作品ですので、ぜひぜひ。

2009年本の雑誌「おすすめ文庫王国」第10位。

これ、幻冬舎のHPで公開されている、藤田さんの日記をまとめたもの。今も書かれていますので、ぜひ一読あれ。抱腹絶倒。読めばクセになること請け合いです。


これを書きだしたころは、まだライターという仕事が安定してなくて、仕事もあったりなかったりだったとか。

だからこそ、その昼夜逆転、締め切りに追われる日々の凄まじさといったっら。

そのせいか、すっかり「だらしな」になったのですか?


洗濯は1週間に1回、干せば出しっぱなし。取り込めば、たたむことが面倒くさい。分かるんです、これ。本当に無意味なことをやっていると感じつつ、藤田さんのような生活を望んでいるんです、わたしたち。


おまけにこの読書量は凄い。仕事とは言え、幸せだよなーと感じてしまう今日この頃。

しかし、そんな生活は、体脂肪を増やすこと間違いなしとうことを実証していただいております。

適度な運動は著者自身も分かっておられて、テニススクールなどに通っておられるのだが、それ以上に食べてしまうという。悪循環。でもそんな生活が全然苦にならない様は、ある意味うらやましいです。


圧巻(?)は、外出時、ブラジャーをするのが面倒くさくて、ガムテープを貼って外出したなどという、暴挙のエピソード?

良く分からないのですが、そんなものなのでしょうか?初めて聞いたよ。


でもしっかり、家族サービスや親戚に対する優しさもあふれて、ほのぼのともさせていただけます。

作者は書評家でもありますので、読書について、凄く参考になる本ばかりです。この方、好きなんですよ。

おまけに、だらしなだけど、すごく料理好きな方で、そのレシピがまた美味しそうなんです。ただ作りすぎてしまうのね。分かるなー。これも。


抱腹絶倒、唖然、。ライターという仕事も決して楽じゃないと思わせるこの本。

でもやっぱり、この生活いいよな。あう。


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