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JUGEMテーマ:読書
この作者さん、わたしは大好きで、ずっと読み続けている作家さんです。
本来なら、直木賞はとっくのとうに受賞されていてもなんら不思議ではない実力者。昔なら小役人シリーズそしてアマルフィーは映画の原作になるなど決して読んで損はしない作家さんです。さらに最近は時代小説も書いていらっしゃる。
そして、これは社会小説?

ジャンル分けするなど野暮というものですね。
東北の第三セクターはもりはら鉄道は、年間二億円の赤字路線。起死回生の策として、新幹線の伝説的なカリスマアテンダント、篠宮亜佐美を社長に抜擢する。しかし、赤字の体質に慣れ切ってしまっている社員は、やる気なし。県庁から出向している副社長は自分の身の保全しか考えられない。
さて、もりはら鉄道は再生することができるのでしょうか。ここが大きな話の柱ですので、その数々のアイデアは書いてはいけませんよね。

これだけではないのがエンターティメント作家の真保さんの凄いところ。もりはら鉄道の成功をじゃま立てするような事件が矢継ぎ早に仕掛けられます。これが後半のキモ。
さて、その真相とは?

鉄道再生の物語と思いきや、とんでもないところに話を引っ張られます。しかし、最後はちゃんと終着駅に。新社長のバイタリティーに周りの社員が引っ張られていく姿は痛快。元気が出てきます。
地域の発展こそが鉄道の発展。地域と共になんていう語句が並びます。今やかっこいいんですね。
地方自治の問題とも絡み合いながら、この会社は果たして再生できるのか。
ノンストップの特急小説です。
やはり、真保さんにはずれはありません。

 
『かたみ歌』との関連性はないけど、同じ括りと言ってよいでしょう。『かたみ歌』は商店街にすむ人々の不思議なミステリーでした。今度の舞台は昭和40年代、高度成長期の最後の方ですか。人口は増え続け、鉄筋の団地が続々、建設された時代ですよね。。

できごとは三億円事件、大阪万博、札幌リンピック、巨人V9、浅間山荘事件など。30年代からの高揚した時期から続いての高揚期。でも陰りも見え始めているんですね。そうそうドリフターズやコント55号も人気を博したのもこの頃です。
ていうか、私の幼少期じゃん(笑)

さて、お話は東京近郊の新興団地虹ヶ本団地の人々の話。例によって、例のごとく不思議なミステリーが語られていきます。絶妙にタイトルの通りの歌を背景にして、出来事なども加えられており、私の年代は面白いと思います。懐かしいという感じですね。

三話「バタークリームと三億円」あたりから俄然面白くなります。「ゆうらり飛行機」はいい話ですね。。

この団地にすむ住人たちの関連性がポイント。特に塾の講師であり、仕立て屋の川辺さんが物語を担っています。
ただねー、連作という形にしない方が良かったのではないかとも思うんです。そうすることで、無理も出てきているんじゃないかとも思えましたし。

でもでも、いい話、泣ける話ばかり。一重に懐かしいし、こういう時代に対してのあこがれもあったりしてね。楽しめました。次は50年代でしょうか?

朱川さんの「なごり歌」の感想の前にこれを載せておかなくちゃ。
当時の朱川さんの作品を読んだ時の感想です。

再掲【2006.7.5】
西の「花まんま」、東の「かたみ歌」といった対になる代表作といってもいいと思います。
昭和40年代の東京の下町「アカシア商店街」。古書店の「幸子書房」や異界へと続いてるといわれるお寺の「覚智寺」。レコード店の「流星堂」などこの商店街に暮らす人々の不思議な奇妙な連作短編集。
収録作品は「紫陽花のころ」「夏の落し文」「栞の恋」「おんなごころ」「ひかり猫」「朱鷺色の兆し」「枯葉の天使」

この中でわたしが好きなのは「夏の落し文」と「栞の恋」。そして最後にあっといわせる「枯葉の天使」「夏の落し文」では、ある日、電柱に貼られた不思議な文句「カラスヤノアサイケイスケアキミレス」の張り紙。これだけではまったく意味不明な言葉。しかし、これはこう読む「ガラス屋の浅井啓介、秋見れず」

すなわちこの短編の主人公のことなのだ。これだけで、もうゾクゾクしてしまいました。
不思議で怖い話ばかり。しかし、決して怖いだけではありません。「花まんま」と同様に妙な懐かしさとそれでいて温かさ、優しさがこの作品にはあります。代表的なのは「おんなごころ」の残酷さを見事に「枯葉の天使」でほのぼのと優しい気分にさせています。
そしてこの作品の中で使われているのが昭和40年代の歌の数々。「アカシヤの雨がやむとき」「黒猫のタンゴ」「ブルーシャトー」「モナリザの微笑み」

あなたは何曲知っていますか。タイトルの「かたみ歌」はこうした歌を背景に物語が綴られていることによりつけられています。歌は世につれということを実感するとともに、実に懐かしい味なのです。
この商店街で不思議な物語の中心に絡んでいる「幸子書房」。この書店もちゃんと話を作っている。噂では異界との境界であるという「覚智寺」より、本当の境界は「幸子書房」にあるということを気付くはずです。

1話ごとの完成度は「花まんま」が良いと思います。しかし連作短編集ということも考えればトータルとしては「かたみ歌」が良い。
「花まんま」「かたみ歌」まさに作者の代表作であるのは間違いないようです。
朱川ワールドをじっくり堪能して下さい。 

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