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評価:
朱川 湊人
新潮社
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『かたみ歌』との関連性はないけど、同じ括りと言ってよいでしょう。『かたみ歌』は商店街にすむ人々の不思議なミステリーでした。今度の舞台は昭和40年代、高度成長期の最後の方ですか。人口は増え続け、鉄筋の団地が続々、建設された時代ですよね。。
できごとは三億円事件、大阪万博、札幌リンピック、巨人V9、浅間山荘事件など。30年代からの高揚した時期から続いての高揚期。でも陰りも見え始めているんですね。そうそうドリフターズやコント55号も人気を博したのもこの頃です。
ていうか、私の幼少期じゃん(笑)
さて、お話は東京近郊の新興団地虹ヶ本団地の人々の話。例によって、例のごとく不思議なミステリーが語られていきます。絶妙にタイトルの通りの歌を背景にして、出来事なども加えられており、私の年代は面白いと思います。懐かしいという感じですね。
三話「バタークリームと三億円」あたりから俄然面白くなります。「ゆうらり飛行機」はいい話ですね。。
この団地にすむ住人たちの関連性がポイント。特に塾の講師であり、仕立て屋の川辺さんが物語を担っています。
ただねー、連作という形にしない方が良かったのではないかとも思うんです。そうすることで、無理も出てきているんじゃないかとも思えましたし。
でもでも、いい話、泣ける話ばかり。一重に懐かしいし、こういう時代に対してのあこがれもあったりしてね。楽しめました。次は50年代でしょうか?