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評価:
西原 理恵子
角川書店(角川グループパブリッシング)
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神さまって知ってる?見たことある?わたし、神さまを探しているの…。世界の子どもたちの目を通して描く「生と死」の物語。ロング&ベストセラー『いけちゃんとぼく』に続く、西原絵本第二弾。 【BOOKデータベースより】
【かみさまは子どもたちの瞳の中にきっといる】
西原さんの本って読んだことなかったのです。どうも、絵本系が苦手で。
あの大震災以降、全く本を読む気になりませんでした。大津波やさらに、原発事故。事実がフィクションを超えており、すべての読み物が空虚に感じられる。
日本は今、すごい経験をしているんだと思う。千年に一度という大災害を目のあたりにしているんですね。
家族を亡くされたかた、今なお行方不明の方、そして、避難所生活をしている方、そして、人災ともいえる原発事故で故郷を出ていかざるを得ない方もいて、やりきれない悲しみが続いています。
そんな時、手にしたこの絵本。作者は、西原理恵子さん。今や売れっ子漫画家さんですね。
どこの国かもわからない、実在するのかどうかも分からないが、大きな喪失感の中で書かれたであろう絵本です。
第1話で少女がベッドの中でつぶやきます。「今日私は、たくさんのおおきなものをなくしたのでどうしていいかわからなくて 神さまにあいたい」
そこから作者と少女と神さまを探す旅に出ることになります。
ゴミが捨てられ、その中で暮らす子どもや貧しい環境で暮らす家族。決して物質的には十分でなく食べるために、必死の家庭。そんなお話が絵本として描かれています。
ここに登場する子どもたちは現実の中でしっかり前を向いて、生きている。かみさまを探す旅は、実はかみさまに出会う旅だったのだ。
子どもという存在が愛おしく、希望であり、この国の将来を担う光であるとするならば、この未曽有の大災害を目をそむけずに、一緒に頑張りたいと思う1冊でした。
(感想表題は、小川洋子さんのPOPから引用しています)