- 2014.01.17 Friday
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「わたし」が「わたし」の邪魔をする――
子犬救出劇を自作自演する美しい少女、カード破産してもロハス生活を続けるカップル、ダニと鼠のいる部屋に住み深夜のコインランドリーに現れる女など、身の丈に翻弄される人々を描いた短編集。【集英社HPより】
大学を出ても就職せず、ミニシアターでバイトしながら仲間と映画作りをしている水絵は三人姉妹の末っ子。長女の亜矢は結婚して子供が一人、次女の真矢は不倫を脱してバリバリキャリア志向。お互いの恋愛事情もバレていて、時には昔話をサカナにお酒を呑んだり……。三姉妹のゆるやかな毎日を瑞々しく描き心温まる長編小説。【新潮社HPより】
ミカエルはハリエット失踪事件に関する膨大な資料を読む一方、ヘンリックの一族のいわくありげな人々の中に分け入っていく。やがて彼は、ハリエットの手帳に書かれた暗号のようなメモを発見する。そして二カ月の刑を勤め終えた彼は、失踪当日のハリエットを写した一連の写真を見て、疑問を抱く。その場所でいったい彼女に何が起きたのか? また、写真に写っていたハリエットの部屋の人影は誰のものか? 深まる謎を調査するには助手が必要と感じたミカエルは、ふとしたことからリスベットの存在を知り、彼女の協力を得ることに成功する。二人は調査を進め、リスベットはミカエルにしだいに魅かれていく。だが、何者かが卑劣な妨害を仕掛けてきた! やがて浮かび上がる忌まわしい事実とは? 幾重にも張りめぐらされた謎、愛と復讐。壮大な構想で描き上げるエンターテインメント大作。【ハヤカワHPより】
日本でも週刊文春ミステリーベスト10第1位をはじめ、各賞受賞。
遅ればせながら、読みました。なるほど、これは面白い。ベストセラーは信じていない私も、これははまりました。
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。だが、名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることになる。そんな彼の身元を大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが密かに調べていた。背中にドラゴンのタトゥーを入れ、特異な風貌をした女性調査員リスベットの働きで、ヘンリックはミカエルが信頼に足る人物だと確信し、兄の孫娘ハリエットがおよそ40年前に失踪した事件の調査を彼に依頼する。ハリエットはヘンリックの一族が住む孤島で忽然と姿を消していた。ヘンリックは一族の誰かが殺したものと考えており、事件を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させる証拠資料を渡すという。ミカエルは依頼を受諾し、困難な調査を開始する。【ハヤカワHPより】
最初は、ヴァンゲル一族の多さに戸惑いました。何といってもそれが翻訳ものだとなかなか覚えられないという、悪循環かと思いましたが、天才リサーチャー、リスベットの出現で、がぜんスピード感というか、物語に引き込まれました。
このリスベット、鼻と眉にピアスをし、身体のあちこちにタトゥーを刻んでいるという、風変りな容貌。何といっても背中にドラゴンのタトゥーを入れているのが、すごい一番。リスベット自身、その過去は決して、幸せなものではなく今も自由なものではないことが明らかになってきます。そして、このタトゥーもちゃんと意味がありそうです。
そんな彼女は、天才ハッカーというのも凄い。
さて、ミカエルなんですが、裁判に負けミレニアム社から身を隠し、奇妙な依頼に身を投じます。
最初は乗る気ではなかったのですが。ミレニアム社のために、重要な秘密を持っているというヘンリック・ヴァンゲルを疎遠にできない。
徐々にその依頼にのめり込んでいきます。ヴァンゲル一族の暮らす島で調査を始めるんですが、その一族の女性とも関係もったこともその一つなんでしょうね。そこはお国の違いか。随所にいい友だちだからということが出てきますが、日本での意味合いとは違いますね。
謎のちりばめ方も秀逸で、どんどん引き込まれていきます。惜しむらくは上巻では、ミカエルとリスベットの接点ががなかったこと。
リスベットの秘密はまだまだありそうですね。
なんだかんだと言って、あっという間に読んでしまいました。最終的な感想は、下巻に残しておきます。
面白かったです、これ。
と、いうより中盤から、一転、重い内容になっていくところが、秀逸。決して絵空事ではない、あり得る話だから、怖いとともに、主人公の苦悩と立ち直りと姿勢に結構はまってしまいました。
長距離ランナーとしての天賦の才を持って生まれた岡崎優。高い能力と努力を重ねて、スポーツで有名な大学に入学する。しかし、まったく自分のことのみしか考えられない。仲間もできず、先輩からは疎んじられていると言う状態。目指すは自分の名声のための箱根駅伝出場。しかし、家族の事件から状況は一変する。
この主人公、岡崎優がなんともいけすかない奴で、どうもなじめないんですよね。
周りに溶け込もうとせず、自分ひとり生きてきた。決して、同調しないという自らの殻を壊せない、壊そうともしない奴で、腹立たしいんです。
親と言えば、父親は箱根駅伝で棄権したという過去で、二男の優に、スプリンターの道しかないという英才教育家。結構な資産家で、BMWなんかで練習に送ってくれるという、なんだかな〜と言う感じなんです。
ついでに母親のことも書きますが、こちらは長男溺愛。甘美な容貌、頭脳明晰。
医者を目指し、勉学に励んでいるというせていが、前半書かれます。
あらすじにも書きましたが、あることから(これは書けません)、家族の状況が一変し、崩壊。
そして、ある事実に気づき、挫折を味わんですね。
それもちょっとやそっとの挫折ではなく、自分の存在意義さえも考えてしまうという。
そこからスプリンターの道をあきらめ、箱根駅伝では唯一の友人岩ちゃんのサポートに回るんですね。
そこからが、見せ所でしょうね。二人三脚で練習に取り組む姿勢と育まれる友情。そして、本番。
もちろん、緊迫感と臨場感もあり、スポーツ小説としても秀逸だと私は思う。
この作者、特定の職業をモデルにした小説が実にうまい。「県庁の星」「Lady,Go」など。
その作風から、この作品で変わった気がしますね。
新作も結構だされているので、読んでみたい気がする。いつか、「県庁の星」に続く大ヒットの予感がします。
ともかく、この異色スポーツ青春小説を読んでみてください。一気読み、必至の作品です。
桶狭間でなぜ信長は勝つことができたのか?信長の遺骸は?秀吉の「中国大返し」はなぜ可能だったのか。真相を探るため、謎の女、多志に導かれ、太田牛一は阿弥陀寺、本能寺、丹波を結ぶ闇へと足を踏み入れる。歴史ミステリーいよいよクライマックスへ。【BOOKデータベースより引用】
さて、下巻です。前半の謎の提示が良すぎて、後半の謎の解明は少し、トーンダウンかな。
全ての謎が、解けていきますが、信長の遺骸以外は、ありかな。というより、いろんなところで、そういう説もありと聞いているので。
信長の遺骸は、これはこれしかないと思うんですね。まあ、本能寺ににあれだけ少ない人数での護衛だったのかというのも謎ですけど。ただ、織田家の家系も絡める所が、この作者の独自性かな。
多志とともに、丹波を訪ね、真相が分かるくだりから、また一気読みでした。
全て、秀吉の陰謀説が占めていますね。
分からないでもない。
一番の驚きは、安土城の天守閣ですね。暦と関連付けているのが、斬新で。信長なら、そこまで考えていたかも知れないな。これは、目にウロコでした。
いろんな謎が一気にとは、いかないまでもある程度、解けていきます。
その解ける過程が、この作品の一番のキモかもしれません。
ただ、作者の言いたいことは十分伝わってきました。
ラストで、織田の目印、木瓜が無残に抜き取られているのと、「権力者の嘘まじりの手柄話を書くのは、もうこりごりだ」と牛一はいいます。
まさしく、作者の書きたい本当の意味があると思いました。
が、なかなか、読ませる秀作とおもいました、わたし。
この手の読み物に興味がある方、ぜひぜひ。
あの小泉純一郎元首相が在任中に感銘を受けた本として、一躍有名になった作品です。
なんと内容は歴史小説と思いきや、歴史ミステリーでした。
本能寺に倒れる直前、後に「信長公記」を記した家臣太田牛一に、信長は5つの棺を託す。安土城下を抜け、西に向うも佐久間に囚われてしまう。その後、秀吉に、信長の伝記を執筆することを条件に牛一は助け出される。 なぜ、中国で苦戦していた秀吉が自分を助けることになるのか。頼ろうとした柴田は?そして、明智は?囚われの身のなっていた牛一は理由がつかめない。そして、最大の謎、信長の遺骸はどうなったのか。そして、信長の伝記を描き続けた今、秀吉も死地に向かおうとしている。
いやいや、いろんな謎が一気に提示されます。まず、5つの棺は何か。信長の遺骸はどこに?光秀はなぜ、暗殺をほのめかすような連歌を作ったのか。桶狭間の合戦で信長はなぜ勝つことができたのか?などなど。ちょっとてんこ盛りすぎるのではと、感じてしまいますね。
上巻は牛一が信長の家臣となって、託された棺、本能寺の変から秀吉の醍醐の大花見会に招待されるまでを描いています。信長の伝記を作るという使命により、各地を調査に回るという探偵役なんですね。いわば、太田を探偵役としつつ、作者自身が探偵となっている手法です。
合戦シーンや極めつけの印象に残るやり取りは、ないんです。ただ、信長の謎を冒頭からちりばめて、上巻はその謎の提示ながら一気読みしてしまいました。牛一は言います。「奇跡とは必ず裏があるもの。歴史とは強者の作り話に過ぎない」
そうした、牛一の言葉がこの作品の全体を作っているのですよね。
謎は解明されず、下巻に向かいますが、さてさてどうなるのでしょうか。早く読めば良かったな〜、これ。なるほど、おもしろい。