<走れ、便利屋>
やっと、直木賞受賞作が図書館から回ってきたので、読むことができました。面白かったー。多田と行天コンビの、ボケとツッコミにやられてしまいました。
まほろ駅前にある、便利屋「多田便利軒」。ある日、バス停で住むところもない、金もない男が転がり込んでくる。高校時代の同級生、行天だった。そこから、奇妙な同居と二人の便利屋が始まる。
まるでドラマの脚本みたいですねー。ドラマ化すれヒットするのではと、思えるような作品でした。多田と行天の関係が実にいいんですねー。
キャラが立っています。何でも引き受けるが、人間関係のわずらわしさゆえ、厄介な仕事は引き受けない多田。
たとえ、自分が犠牲になっても人間関係とは、何かを追究する行天。二人の高校時代の関係(多田の行天に対する負い目)も絡み、対立していきます。
行天が特にいいですね。黙ってタバコは多田から盗むは、拾ってきた片方ずつ違う手袋、ジャージをマフラーにするし、健康サンダルだし。
多田はそんな行天に愛想を尽かそうとするんですが、見捨てられなくなるんです。
いつしか、友情が成立してくるんですね。
二人の過去も徐々に語られ、最後は多田の過去までが…。ここがいいんです。
脇役も実に充実。自称コロンビア人娼婦ハイシー、生意気なガキ由良、チンピラヤクザの星とどれもが便利屋の事件に絡み、最後まで関係していきます。こうして、多田便利軒は行天の同居とともに、なにやら不穏な稼業になっていきます。
多田という男、基本的には優しくて、そうでなければ便利屋などやっていないのだろうけど。
行天は言います。「誰かにに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」
多田は「生きていれば…、愛するチャンスはある。与えられなかったものを、今度はちゃんと望んだ形で、おまえは新しくだれかに与えることができるんだ。そのチャンスは残されてる」
そんな、とっても優しい絶妙コンビが織り成す、ドタバタとユーモア、そして、一級の友情小説をぜひ、読んでみてください。
【文藝春秋/
】
<第135回直木賞受賞!意外とはいえ実力派(7月15日)>
いやー、びっくりしました。今回の直木賞でまさかのダブル受賞とは。
それだけ、この作家の実力ぶりが伺えるというものですが…。
しかし、しかし、あまりにも文藝春秋に偏っているのではないですか!
でもでもこの作家の実力は認めざるをえないと思います。
<瑞々しく清新な文章(7月3日)>
SNSでぱすてるさんから、書き込んでいただいたオススメ本がこれです。
しをんさんは今回の第135回の直木賞の候補作になりましたね。
気になっていたんです、この作品。
オススメとあってぜひ読まなくてはと思っている今日この頃です。
ぱすてるさん評…「瑞々しく清新な文章は未完の大器」
そろそろですかねー、直木賞も。