<君のことは絶対、忘れない>
この作品はいいといわれる人と、イマイチと評価される人が分かれていましたよね。わたしはいいという評価を信じて、読んでみました。
どちらかというと、わたしにとって、後者の方に入るでしょうか。いわれるほど泣けませんでした。
タカシはメガネショップであずさと出会う。とっても不思議な少女に魅かれていくタカシだが、あずさからある秘密を聞かされる。それは自分は「消える」というのだ。
運命の出会いを果たすタカシとあずさ。互いに魅かれ合っていきますが、あずさには「消える」、つまり存在がなくなるという秘密がある。あずさに関わった人たちからもその記憶が消失しているという。しかし、タカシにはその記憶が誰よりも残っている。
ここからタカシのあずさを忘れまいとする努力と必死の救出が始まります。
しかし、しだいにあずさが消える時間は長くなっていくのです。
こんな一節、「彼女に腹を立てたり、傷つけられたと思ってウジウジしたり、わけがわからなくてイライラしたり、そういう悶々としたものを山ほど抱えていたはずなのに、なんだかそんなものは一瞬で吹き飛んでしまった」
こんな気持ち、恋する気持ちは誰にもあったではありませんか。またはありますよね。
切なすぎるて、タカシがかわいそう過ぎる。必死にノートに書き留めていく姿、読み帰す姿に感動します。そして、いよいよそのときが…。
切ないストーリーです。
恋愛小説にしたことも、間違いではなかったと思います。
しかし、なぜ消えるのかがどうも気になって、帰ってくるんだろうと思って読んでしまいました。
失敗ではなく、わたしの読み方がそうなんですよね。もうひとつは最初に消えたところ、時計屋は何の意味があるんだろう。どうも気になります。どなたか説明して欲しい。
ともあれ、この小説は成功していると思います。ラストも泣けます。しかし、のめりこんで読めなかったのは、わたしの感性のせいでしょうね。
ただただ、タカシに同情するのと可哀想だと思って読んでしまいました。
それから、すすめて下さったみなさん、ごめんなさい。いい感想にはなりませんが、注目する作家には間違いありません。
【新潮社/
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