<不器用に、頑なに、懸命に生きる姿が感動を呼ぶ>
第135回直木賞受賞作品です。この作品を読んだ人のほとんどの人が、その上手さに感心すると思います。
不器用だけれども、頑なに、懸命に生きる。世の中には様々な人が、懸命に生きています。わたしはどうか…。懸命とはいえないが頑なには生きているなー。そんな、あなたやわたしが読むとこの作品で、さらに頑張ろうと思えます。
「器を探して」…ケーキ職人の秘書の話。才能豊かなケーキ職についたものの、わがままで嫉妬深い先生に愛想を尽かしつつ、離れられない弥生。
「犬の散歩」…捨て犬保護のボランティアの恵利子。その餌代のためにはスナックのホステスまでして、里親探しに奔走する。
「守護神」…レポートの代筆をするというニシナミユキ。祐介は代筆を依頼するが、あえなく断られる事になるが…。
「鐘の音」…仏像修復師の本島。人の付き合いとまじめさがあり、師匠からも突き放されている。そんな彼が25年ぶりに訪れた場所は。
「ジェネレーションX」…苦情のお詫びにと一緒に回る事になったのは、新人類、石津。携帯で連絡しているのは、10年ぶりに約束しているある計画の事だった。
「風に舞いあがるビニールシート」…国連の難民救済に奔走するエド。そんなエドに魅かれ結婚した、里佳。難民救済の最中、非業の死を遂げるエドに里佳は立ち直れない。
という、6話があります。
わたしが好きなのは、「守護神」「ジェネレーションX」「風に舞いあがるビニールシート」。
「守護神」の強がりで、良いカッコしてレポートを依頼するが、人一倍信頼され、頑張ればできるという祐介の本質を見抜く、ニシナミユキ。自分でもきづいているんですよね、祐介自身も。
「ジェネレーションX」は世代を超えて、携帯電話のやり取りから野球の試合を成立させるための必死になる青年との交流を描きます。こ、これは、重松清ではないですか。切なくて、最後はほっと安心させられ、和む結末です。人間捨てたものではないと思うお話です。
そして表題作「風に舞いあがるビニールシート」。はっきりいって、エドのひたむきな気持ちには惹かれるが好きではないです。言葉の端々に「難民が置かれている状況の中で、ぬくぬくと生きていること」の罪悪感。体験している人たちにしか、分からない事かもしれません。それなら里佳を巻き込むこともしないで欲しかった。
でも、不満と思いつつ、エドのそういう一途な気持ちに魅かれていることがわかった、里佳が立ち直ってゆく姿に感動します。
どの話もひたむきに、生きる姿を淡々と書かれています。静かに温かく見つめる作者の目線。みんな懸命に生きている。そう、自分も懸命に生きよう、いや生きているのだ。だから、人生楽しく面白い。そんな気にさせられる、作品です。
うまいです。上手すぎる作品に仕上がりました。今や風格のベストセラー作家、森絵都さん。
今後の作品にも目が離せません。
静かな感動をいただきました。
【47冊目/文藝春秋/
】
<購入した後、サイン本が店頭に(8月10日)>
内容(「BOOK」データベースより)
愛しぬくことも愛されぬくこともできなかった日々を、今日も思っている。大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語。
すでに読了した本なのですが、今日、書店に行ってみると、な、なんとサイン本が店頭に。作品があまりにも良かったために、ぜひぜひサイン本が欲しかった。
しかし、生活苦のため買う余力はなく、あきらめる事にしました。
本を買うタイミングも難しいものです。
評判の作品は早く読みたいし。何とも悲しい日でした。
<直木賞の本命中の本命が見事受賞。オススメします(7月17日)>
第135回直木賞を見事、受賞。
わたしはなんとなく予想していましたが、見事的中しました。
そんな中、現在購入して読んでいますが、これがいい。
読了後に詳しくは感想を載せますが、自分の道を貫き通す主人公達の6つの人生のお話です。どの短編も精度が高く、すごくいいんです。もう少しですが、早くもオススメします。
<わたしは未読だけど、直木賞最有力候補だと思う(7月4日)>
ビーケーワンさんのポイントで買った本がこの本です。
各書評で相当いいみたいですので、楽しみです。
直木賞候補作になっていますが、わたしはこれまでの作品を読んでみて、大本命だと思うのですが、どうでしょう。
森さんは、すでに実力派だと思います。とって欲しい作家さんです。
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