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オンライン書店ビーケーワン:さいはての二人

<家族との繋がりと自分の居場所、死を描く>

美亜がはじめて朴さんと出会ったとき、「この人はあたしだ」と感じた。そんな朴さんに強くひかれていく美亜。しかし、悲しい結末が。その他「約束」「遮断機」を収録。

表題作「さいはての二人」はラブストーリーと思いきや、いろんなことを感じさせてくれる作品でした。同じ感覚と境遇を持つ朴さん。二人はひかれあっていきます。
決して美亜を求めようとしない朴さんだけど、美亜は側にいるだけで居心地がいい。
しかし、夏が過ぎ、秋を迎え、朴さんとの連絡が途絶え…。
何て悲しい結末なんだろう。広島に住むわたしにとって、朴さんはわたしではないかと慄然とさせられました。この感覚は朱川湊人「わくらば日記」を読んで以来の衝撃です。決してラブストーリーではなかった。
これは戦争を背景にした、家族小説的味わいがある作品でした。
「男の子」(リトルボーイ)がもたらした悲劇とは。

「約束」は故郷を逃げ出してきた主人公のアパートに、毎日のように訪ねてくる少女。なぜ彼女は来るのか。この結末も悲しい。

「遮断機」昔の彼と同僚が結婚することを知ったときに感じる喪失感。昔の
家族とも言える揚げ物屋を訪ねる主人公。
「いきてりゃあさ、一日や二日、こういう日もあるさ」
というおじいの言葉に、懐かしさと家族の温かさが伝わってきます。
しかし、それは遮断機の向こうの異界。

どの作品も「家族」「居場所」「死」をテーマに語られていきますが、とってもとっても切ないんです。あえていえば、「遮断機」が元気になる人情話かな。しかしおじいの言葉とは裏腹に、作者鷺沢さんが自ら死を選んだことを考えると、何だか重い作品集になっていることは否定できません。

いろんなことを考えさせてくれる本には間違いありません。しかし、わたしには重すぎた。3つ★は限りなく4つ★に近いものなのですが、どうしても4つにはなりませんでした。実に惜しい作家、鷺沢萠さん。その死が惜しまれます。
恋愛小説というよりも家族小説に近いものだろう。
そんな作品を読んでみてください。

<切なくて、胸がキュンとなる(4月23日)>
忙しくて、図書館に行くこともできず、数ある積読本の中から選んで今、読んでいるのがこの本。
確か買ったのは1年前だったような。
北上次郎氏の解説でその帯に「切なくて、胸がキュンとなる小説」とあったのにひかれて購入。
やっと読むことにしました。
作者は鷺沢萠さん。35歳で急逝された方です。

評価:
デイヴィッド ヒル
求龍堂

<翻訳者田中亜希子さんから、コメントをいただきました>
下のレビューに対し、翻訳者の田中亜希子さんよりコメントをいただきました。感激です。
>すてきなレビューをありがとうございます。この本の魅力をわかりやすく伝えてくださっていて、うれしく拝見しました。
こちらこそ、いらっしゃいませ。嬉しいです。
つくづく思うのはいろんな方に、見ていただいているんだなーと思います。
いい感想もあれば、ストレートな感想もあり。思うのままの感想にコメントをいただける。本当に嬉しい限りです。
これからもがんばって読むぞー。

<人生は素晴らしく、そして、つづいていく。彼との思い出とともに>

15歳の少年ネイサンと筋ジストロフィーという難病に冒されているサイモン。二人の友情と彼らを取り巻く人たちの物語。ニュージーランド発の青春小説。

4月10日にUPし、さっそく読みました。
児童書です。前から気になっていて、「週刊ブックレビュー」のオススメでで即効、図書館に行き、読むことにした本です。
すごく良くて、涙ものの作品です。しかし、それだけではなく、生きることの意味や素晴らしさ、人の大事さや温かさを教えてくれる作品です。

とっても優しいネイサン少年と難病に罹っている毒舌のサイモン。この二人の対比が絶妙。学校での出来事や、それぞれの家族との関わりが、ユーモラスに明るく描かれています。

サイモンがいいです。悲観することもなく、自分をあわれんだり、病気から目をそらすと、途端に自慢の毒舌でやっつけます。ネイサンもたじたじなのです。
またキッドマン先生がいいんです。
国語の授業で詩を書かせ、サイモンの詩を読むシーンに涙。そしてうまく収める。さすが先生と何度も思うところがありました。
この詩の朗読でジーンときて、マラソン大会のネイサンに涙し、ラストでまた涙。

なんていい作品なんだろう。本当に児童書なんてもったいない。
ぜひ大人が読まなくては、いけない本なのです。
人生は続いていく。そして素晴らしい。
「がんばったね、サイモン」
わたしもそういって、本を閉じました。素晴らしい作品をありがとうと思える作品です。(4月16日)

<週刊ブックレビューの中江有里さんオススメ(4月10日)>
NHKの週刊ブックレビュー15周年&700回特集の中で司会を務めている5人が薦める本の中の、中江有里さん(実は昔からファンなのです)のオススメ本です。書店の平積みコーナーで目にしていて、どうも気になっていた作品です。
確か、町の図書館にも新刊コーナーで目にしていたので、さっそく出かけてみると運よく発見。さっそく借りることにしました。

内容は筋ジストロフィーに冒されている少年とその友人の話。オーストラリア発の青春小説。最後は号泣ものだとか。また予期せぬ出会いになりそうです。次に読むことにしました。

<永遠なんてどこにもない。死を題材に生を問う。落涙必至の傑作>

何気ない日常から、ある日突然、愛する人を失う人たちはどうするか。誰でも訪れる死、その日をあなたはどう迎える。短編集。

こんなに泣いた本はいつ以来だろう。しかも号泣でした。
とめどなく流れる涙。それでも読み続けなければいけない。それは重松作品を読む義務というものだろう。とっておきのラストがあるわけでもない。しかし、読んだ後、生きることや人生ってこういうものなんだなーと考えてしまうのが重松作品であると思います。
この作品も例外ではない。誰もが避けて通りたい「死」をテーマに暗く、重く、辛い作品ばかりです。
ここに収められた作品は、どの主人公たちも死を受け止めていくんですよね。自分がその日を迎えるまでどう過ごしていくのだろうか。

愛する人を亡くした人が読むと、「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」が情景のように、出てきて。その死を思い出しがながら、自分と重なり合いながら読んでしまうので、わたしはグチャグチャに泣いてしまいました。

わたしたちが敬遠する、「死」とはどういうことなんだろうか。それは「生」を思うことなんですね。
ちゃんと重松さんは答えを作品の中で用意しています。それは「考える」ことなんですね。昔を考える、今を考える、そして「その日」を考える。なくなった人たちも、残された人たちも。

永遠なんてない、いつか迎える「その日」を、わたしたちはどう迎えるのでしょうか。それも考えつつ、今をもっと、一日一日を大切なものとして受け止めていかなくてはと思います。とっても辛く、重い作品集です。一つひとつの作品が単独に泣けます。
しかし、重松さんは、ちゃんと最後に繋がるようにしています。
本当にうまい。ストーリーも文章も。流れるような文体と、美しい情景描写。会話の妙。まさに名人級のこの作品集をぜひ手にとってもらいたいと思います。

オンライン書店ビーケーワン:博士の愛した数式

<数字、それはなんて美しいものなんだろう>

家政婦のわたしは、事故のため記憶が80分しかもたない数学博士の下にいくことに。靴のサイズを発端に、わたしと阪神タイガース大好きの息子√とともに博士との奇妙で温かい交流が始まる。

淡々とわたしと息子と博士の、日常が語られていきます。
80分しか記憶がない博士の家政婦となった、わたし。しだいにこの数学博士の数字の魅力に取り付かれていきます。
「君の靴のサイズはいくつかね」で始まる数字の魅力にはまっていきます。
誕生日と博士の論文の賞の数字が、友愛数であると語られていくところから、切り離せない存在になっていくんですね。

そして息子√と博士の関係。阪神タイガースが大好きな息子√。江夏が活躍している時代しか記憶にない博士。博士を気づかう√少年。なんて愛情深い、いい子なんでしょう。
ケガをしたときに博士を気づかうルート少年に涙しました。
√の誕生日のシーンも涙。

なんて奇妙で不思議で悲しく、温かい作品なんでしょう。
いい作品です。
そして、わたしにとってはもうひとつ。江夏なんです。わたしの時代のヒーローですよね。王、長島をライバルとして、牙をむいた江夏選手ののエピソードが満載です。江夏選手の背番号も完全数なんですよね。

日ごろは何気なく見ていた数字の世界。あっ、これは素数ではないか、なんて思って数字の世界にはまっています。フェルマーの最終定理も出てきます。
80分の記憶なのでメモだらけの博士。それを受け入れ、接する親子。いい話だなー。
しかし、疑問。博士の愛した数式は一体なんなのですか?
今いち、その意味がわからなかったのが、わたしの不満。
これは一重に読み手のせいでしょう。
何度もいいます。いい作品です。第1回本屋大賞受賞作品もうなづけます。
ぜひ、ぜひこの名作を読んでいただきたいのです。

<スランプ中だが、この本だけは読みたい(4月4日)>
というわけで、昨日、図書館で運よく見つけることができました。
今、読書は絶不調なのでこの本だけ借りることに。
どんな数学の世界があるのでしょうか。楽しみです。

<数学者、この奇妙な人たち(3月24日>
昨日の朝、森本毅郎さんの「日本全国8時です」の中で、数学者について、語られた。数学者にとって、7つの難問があるという。
その一つが、「四色問題」。これは白地図を何色で塗り分けられるかというもの。確か、「容疑者Xの献身」(東野圭吾)でも解いていたような気がする。

話は、数学者が奇妙さゆえに取り上げられるから始まり、表題作の映画。そして、「フェルマーの最終定理」など、世界の数学者を悩ませる難問について語られ、数学の世界は面白いと結ばれたような…。
そういえば、やたらと数学者が本の世界でも取り上げられていますね。

そしてその代表作が「博士の愛した数式」。
本も映画もわたしはまだ触れていませんが、少し興味が出て来たので本から読もうと思ったのでした。こんな話題本をまだ未読というのも恥ずかしい。

オンライン書店ビーケーワン:天使のナイフ

<少年が犯した殺人。その罪と贖罪を問う。第51回江戸川乱歩賞受賞作>

桧山は4年前に妻を3人の少年達により、殺される。その少年達は、少年法の下、更正し、既に社会復帰している。殺してやるほど憎い。しかし、事件に関わった二人の少年が殺される。犯人は一体誰なのか。

紛れもないミステリー。最後まで真の犯人については不明のまま。そして、江戸川乱歩賞受賞作品にして、すでに、これだけ読ませる作家は近年、まれに見る収穫です。
と、この作品は評判どおりといいたいのですが…。
わたしにとっては、ちょっと重くてなかなかページが進まなかったというのが、本音です。

近年、少年の犯罪が多発し、もはや社会問題となっているといってもいいでしょう。しかし、犯罪を犯した少年達は、少年法の下、名前は秘匿され、数年ののち、社会復帰を許される。将来のある子どもの更正の道を作るためなんですよね。

その問題について、あえて切り込んだ作者の力量は先に書いたとおり、敬服するしかありません。しかし、ちと少年犯罪にかかわりすぎる関係者が多いのではないですか?
あまりにこれでもかと来ましたので、引き気味に読んだのはわたしだけでしょうか?
社会派推理小説の新鋭の誕生にはまちがいありません。構成もミステリー的要素もさすがです。読んで損はありません。

ですが、このテーマがわたしには合わなかった。そして、わたし自身が集中して読める環境ではなかったのも影響して、3つ★評価です。
うーん、第2作がわたしにとっての評価の分かれ目でしょうか。
ともあれ、期待したい作家さんです。

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