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面白かったです、これ。

と、いうより中盤から、一転、重い内容になっていくところが、秀逸。決して絵空事ではない、あり得る話だから、怖いとともに、主人公の苦悩と立ち直りと姿勢に結構はまってしまいました。


長距離ランナーとしての天賦の才を持って生まれた岡崎優。高い能力と努力を重ねて、スポーツで有名な大学に入学する。しかし、まったく自分のことのみしか考えられない。仲間もできず、先輩からは疎んじられていると言う状態。目指すは自分の名声のための箱根駅伝出場。しかし、家族の事件から状況は一変する。


この主人公、岡崎優がなんともいけすかない奴で、どうもなじめないんですよね。

周りに溶け込もうとせず、自分ひとり生きてきた。決して、同調しないという自らの殻を壊せない、壊そうともしない奴で、腹立たしいんです。

親と言えば、父親は箱根駅伝で棄権したという過去で、二男の優に、スプリンターの道しかないという英才教育家。結構な資産家で、BMWなんかで練習に送ってくれるという、なんだかな〜と言う感じなんです。


ついでに母親のことも書きますが、こちらは長男溺愛。甘美な容貌、頭脳明晰。

医者を目指し、勉学に励んでいるというせていが、前半書かれます。

あらすじにも書きましたが、あることから(これは書けません)、家族の状況が一変し、崩壊。

そして、ある事実に気づき、挫折を味わんですね。

それもちょっとやそっとの挫折ではなく、自分の存在意義さえも考えてしまうという。


そこからスプリンターの道をあきらめ、箱根駅伝では唯一の友人岩ちゃんのサポートに回るんですね。

そこからが、見せ所でしょうね。二人三脚で練習に取り組む姿勢と育まれる友情。そして、本番。

もちろん、緊迫感と臨場感もあり、スポーツ小説としても秀逸だと私は思う。


この作者、特定の職業をモデルにした小説が実にうまい。「県庁の星」「Lady,Go」など。

その作風から、この作品で変わった気がしますね。

新作も結構だされているので、読んでみたい気がする。いつか、「県庁の星」に続く大ヒットの予感がします。

ともかく、この異色スポーツ青春小説を読んでみてください。一気読み、必至の作品です。

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