<無理して生きることの馬鹿馬鹿しさ。伊良部先生、健在>
伊良部シリーズ第3弾。相変わらずの伊良部先生の下を訪れる、悩める患者さん達は各方面の有名人のそっくりさんばかりの悩める方々。こんな方々です。
「オーナー」…プロ野球のワンマンオーナー。しかし、マスコミの前に出るとパニック障害に陥る。
「アンポンマン」…IT企業の社長はひらがなが思い出してもでてこない。
「カリスマ稼業」…有名女優は、自分の若さを崩さないために日々、エクササイズ。
「町長選挙」…表題作は伊良部先生が離島に赴任。そこは町長選挙の真っ最中。そんな島を二分する選挙に出向している青年が板ばさみ。伊良部先生も当然巻き込まれる。
いやー、面白い。あっという間の至福の時間でした。笑って笑って、なるほどとうなずきき、どこかで現実の中で疲れきっている自分もいたりして。そう思うと、伊良部先生の言葉が響いてくるんですよね。
オーナーには「リタイヤすればいいじゃない」カリスマ女優には「太ったらいいじゃない」。文字を思い出せないIT企業の社長は保育園でカルタとりをさせる。
「町長選挙」では棒倒しで決着を図る。まさに伊良部先生、自然体なんですよね。自然体で賄賂ももらってしまいますが…。
一番笑ったのは「アンポンマン」かな。パソコンの使いすぎでひらがなが分からなくなる。といっても、笑ってばかりではいられません。こんなことありますよねー。ひらがなじゃなく、漢字はしょっちゅう思い出せないことがあるんですよね、わたし。そんなパソコン依存のあなたが読むと身につまされるのでは。相当な皮肉がこめられているんですよね。
看護師のマユミちゃんもパワーアップ。お色気はもとより、患者や先生さえも平気で金盥を落とすんです。相変わらず、貴重なキャラ。マユミちゃんで救われる事もあるんです。
非常に面白い。現代人が読むべき処方箋かも知れません。教えてくれるのは、無理して生きる事のばかばかしさ。伊良部先生の自然体こそ、わたし達が最も必要な事なんですよね。
いやー、今回も癒されました。
【46冊目/文藝春秋/
】
【コメント&TBをいただいたブロガーさん】
みかんのReading Diary♪
ナナメモ
itchy1976の日記
かみさまの贈りもの〜読書日記〜
じゅずじの旦那
m's box
あまり評判のよくないこの本ですが、私もすごく楽しみました。
そうそう。何事もすこし気を楽にして取り組まないといけないんだって
伊良部先生はそういうことを言ってるんですよね。