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評価:
大島 真寿美
角川書店(角川グループパブリッシング)

友だちでも親友でもない。同僚でもなく、仲間でも、同級生とも違う。
しいて言うなら戦友。漫画家を目指していた佐紀。編集者玖美子との出会いは、漫画家から作者の道を選ばせる。一緒に戦ってきた玖美子は不意に病に倒れ、この世から去ってしまう。佐紀にとってかけがえのない戦友を失った時…。

瑞々しい文章に定評のある大島さんですが、この作品もいいですね。
自分を見出してくれた、玖美子は佐紀にとってかけがえのない、存在だったのですね。ある日突然、そんな彼女がいなくなった。
失望と、虚脱感。そして、スランプ。
そこから、ゆっくりと、再生していくんですね。

友人や家族の死がもたらすもの。
それぞれに、余韻を残しながら、それでもわたしたちは生き続けねばなりません。亡くなった人たちの言葉や遺していったものを思い出しながら。

そんな佐紀の言葉にこんなのがあります。
「つまらない生活がつづく明日のために、今夜も眠りにつく」
「何事もなく、平凡な一日を終えられたらいいのに…どうしてそれっぽっちのことがかなえられないのだろう」
はっとする文章が多数。

そして、先輩の律子さんに、
「長い長い喪中だったね」と言われ、自分のスランプに気付くんです。それに続くラストを見よ。何とはなしに元気になれるから不思議。

佐紀を通して、わたしの人生の中の死を思い起こし、でも人は生き続けることを教えてくれました。だから、やはり、今が大切なんですね。
実に余韻の残る作品でした。
大島さんのベストですね。
余談ですが、「ほどけるとける」と繋がっています。懐かしかったなー。

評価:
大島 真寿美
新潮社

 大学を出ても就職せず、ミニシアターでバイトしながら仲間と映画作りをしている水絵は三人姉妹の末っ子。長女の亜矢は結婚して子供が一人、次女の真矢は不倫を脱してバリバリキャリア志向。お互いの恋愛事情もバレていて、時には昔話をサカナにお酒を呑んだり……。三姉妹のゆるやかな毎日を瑞々しく描き心温まる長編小説。【新潮社HPより】

この作家さんのゆる〜い感じが本当にいいですね。
といっても「ほどける とける」しか読んでいませんけど。この作品もそのゆるさが癖になる。

物語は、福池家三人姉妹の日常を描いています。といいつつ、母が突然家出してしまったりとそういう話も盛り込まれていますけど。
三人姉妹の末っ子の水絵を中心に描かれています。
この水絵はフリーター。ミニシアターでバイトをしつつ、将来に展望もやりたいこともない。唯一の楽しみは、DVD鑑賞といったものです。

そんな水絵に同じバイト仲間の一つ下、右京君という男性に魅かれていくのですが、これがすんなりといかない。お互いの気持ちを確かめつつ、終わりの予感もしている。右京君の浮気も.が原因でそれは決定的になってしまうんですが、その時の二女真矢や、真矢に思いを寄せているグンジさんがいいですね、とっても。
グチャグチャになった水絵を温かく見守ります。

水絵と来たら、浮気相手を右京の監督の主演になれと迫る。さらには自分にメイキングを撮らせろという。これって、最悪の仕返しでしょう。まあ、そううまくはいかないんですけどね。
と、書いたらお分かりの通り、この作品は優れた家族小説でもあり、もう一つのテーマ、映画小説でもあるんですね。いろんな映画が出てきます。ローマの休日やキートンの映画。しかし、一番見たいと思ったのは小津安二郎「お茶漬けの味」。夫婦のぎくしゃく感が、和解していくのがなんとも。そういう話もこの物語に程よい、味付けになっています。

もちろん、三者三様の姉妹の話もあって、わたしは長女亜矢の小姑の雪子がなんとも好きですね。二女、真矢もいいし、グンジさんもいい。つまりこの小説に出てくる、ほとんどが好きなのです。
家族小説でもあり、映画小説でもある、何とも味のある小説だとわたしは断言します。

それと、わたしは兄弟なのですけど、三人姉妹というシチュエーションって、やっぱりいいですね。
ほのぼのとして、仲がいいのが何とも嬉しい作品です。

オンライン書店ビーケーワン:ほどけるとける

<心の凝りがほどけ、とけてゆく>

書評家の吉田伸子さんが、「本の雑誌」「週刊ブックレビュー」で取り上げられていたのがきっかけで、読んでみました。意外とは失礼ですが、良かったのです。

美和は、高校を辞め、祖父の銭湯でバイトをしている。高校をやめたのも、わずらわしい関係が嫌だったというだけ。そして、今もふわふわと生きている。そんな美和が、銭湯にくる常連客と接するうち、大切なものを見つけていく。

主人公美和のように、ニートってこういう気分なのかも知れない。何をやっても身が入らない。祖父から後継者のいない銭湯を継ぐかと聞かれても、継いだ所で先は見えているし、これといったものもない。
そんな美和がある人と出会っていく中から、やりたいものを見つけていく過程に、どきっとさせられ、打ち込んでいく姿に元気が出てくるんです。やりたいものとは、こんなに近くにあったのです。

美和を取り巻く人たちもいいですねー。漫画の原作を書いている、大和湯常連客の佐紀さん。彼女との交流もいいんですね。とっても自由に、緩やかに生きています。そんな佐紀さんが料理を振る舞い、酒を飲み交わすシーンがグッドなんです。本当に出汁巻きで冷酒が飲みたくなるんです。
もう一人は美和の弟、智也。これがいい味を出しているんです。
「大和湯でバイトするくらいなら、RPGで勇気と智恵をみがけ」
うーん、憎たらしいけど何か説得力のある大人びた中学生なんです。

回り道をしながらも、これからの人生を変えるものに気付かせていきます。それが見つかったとき、今までの美和が頑張っていくんです。高校にも認定試験を受けて終了します。努力し、夢に向かって突き進んでいくんです。

この作品に流れる、ふわふわ感。そして、もやもやした心の凝りが次第に「ほどけて、とける」作品に仕上がっていきます。そして最後は爽快感も。
この作家さんの優しい視点もとってもいいです。
この作品に触れれば、凝りがどんどんほどけていく、癒される作品であることは間違いありません。
【角川書店/温泉温泉温泉温泉

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