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 <地味な高校生活に当たる、一条のスポットライト>

決してスポットの当たることのない、地方の女子高校の生活。普通の生活の中に宿る、高校生の悩みや不安を切り取る連作短編集。

痛すぎて涙が出るんじゃなくて、なぜか胸がチクチク痛むという感じ。
どの作品も、とってもいいですねー。

といいつつ、最後の話「雪の降る町、春に散る花」は泣きました。
東京の大学に入学も決まり、付き合っていた彼と離れ離れになることの主人公の辛さ。そして、別れの時を切なき描きます。
自分も田舎を離れ、一人暮らしを始めたときの不安と寂しさがオーバーラップしてくるんですね。ただし、恋人はいませんでしたが。
大切な人だった人と離れ離れになる、寂しさが切々と伝わってきます。

唯一、この作品の中で系統が違っていたのが「金子商店の夏」。
司法試験に何回も落ちている和弥は祖父が、危ないという知らせに慌てて帰郷します。実家の学校の側の、小さな小さな金子商店。そこで懐かしい友だちと合って、幼い頃の記憶が蘇ってきます。
そして、まんざら「金子商店」も捨てたものでないと思い始めます。ラストで和弥が、ホースで水を撒くシーンがとってもいいんですね。
そこには、希望が溢れています。

その他は女子校生の話。
どれも粒揃いです。しかも微妙にリンクしています。
神田川デイズの手法ですね。

何気ない生活の中に、光を当てる豊島さんの手腕に、今さらながらすごさを感じますねー。
何回も言いますが、本当に痛い作品を書かれる作家さんです。
この痛さが、癖になるから不思議です。

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