<もう一度、人生をやり直すことができたら…>
いつか、荻原さんの最新作と書きましたが、この間「ママの狙撃銃」が発行になりました。早いんですよ、新刊出るの。とはいいつつ、嬉しいですね、お気に入りの作家さんの新作は。
さて、この作品です。荻原さんは、本当にいろんなパターンの作品が書ける人だなーと感心してしまいます。シリアスにコミカルに、本当に沁みるんですよね、心に。この作品も例外ではありません。
長年勤めた銀行を上司との反発で辞めた、牧村伸郎。タクシーのドライバーに転職するもなかなか、売り上げが伸びない。そんな中で昔住んでいた町、アパートを見たとき、心の中に、人生やり直しができないかを模索していく。
学生時代付き合っていた恵美の住んでいるところを、こっそり訪ね、やり直しを考えていきます。このやり直しの妄想(イメージ)のシーンが笑うんですけど、あまりに多すぎて多少食傷気味に。中だるみになってしまったのは残念。
これだけの話なんですが、読ませるんですよ。誰もが抱えていると思う「やり直しができたら…」という気持ち。荻原さんはちゃんと、答えを用意してくれていました。大体予想はつくでしょ?
プロとしてのタクシードライバーの技(?)を学んで、売り上げを伸ばしていくんです。これ、ちょっと参考になります。
そして、これまでの人生、捨てたもんじゃないと思えてきて、元気が出てくるんです。この主人公の前職が今のわたしと同じ職業。さらに同年代となっているところもすんなり入って、随所にうなずいて読んでしまいました。
難点は、やはりイメージシーンの多すぎ。
これを、少なかったらどっぷり浸れたと思います。
しかし、わたしは好きです。
あなたは「もう一度、人生をやり直すことができたら…」、どうしますか。
わたしはきっと…。
ぜひ、読んでみて下さい。今の自分を見つめるきっかけの本になれば幸いです。