- 2014.01.17 Friday
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ある事件を境に心を閉ざした17歳のおちかは、神田三島町の叔父夫婦に預けられた。おちかを案じた叔父は、人々から「変わり百物語」を聞くよう言い付ける。不思議な話は心を溶かし、やがて事件も明らかになっていく。【角川書店HPより】
元々、百物語という副題からも期待をしていたのですが、その期待は全く裏切られませんん。何より、宮部さんは百物語を書こうとしているんです。その思いが、まずすごい。
おちかが三島屋の叔父と叔母にのところにやってくるんですが、その理由が明らかにならないんですね。ただ、心を閉ざしたまま。遮二無二、働くんです。そんなおちかに、ある日、叔父から客の接待をを言い付かるんですが、それがおちかの心を少しずつ開かせるきっかけになるんです。
そして、荒療治ともいえる、百物語こそがおちかの心を取り戻す唯一の治療と判断した叔父。一人ずつ、屋敷に呼んで不思議な話を聞かせることに。
この件が、もうぞくぞくものなんですね。宮部さん、あなたは何と小説を知り尽くしているんですか?
第1話「曼珠沙華」では、仲の良かった兄弟が、ある事件をきっかけに離れ離れになるのですが、だんだん弟の心に兄を疎ましくなっていくんですね。方や、兄のほうは弟に会いたい。そして、そんな兄が現れる場所が‥。1話目ですでに、引き込まれてしまいました。
第2話も怖いです。鍵のない錠まいの鍵を頼まれる、鍵師。しかし、その鍵を手にしたとき、次々と不幸が降りかかる。そして、多大なお金と引き換えにその家に移り住んでくれと頼まれ、住んでみるのだが‥何もない。しかし‥。
第3話「邪恋」は徐々に自分の過去を見つめていくおちかが、事件を語っていきます。これは、泣かせます。というより、人間の心にあるちょっと思いがずっとずっと尾をひいている、おちかに涙なんですね。
第4話「魔鏡」。これが一番怖かった。してはいけないこと、しかし、どうしようもないこともzる。
そんな姉弟が一家を滅ぼすという話。怖いです。
最終話は、何と、これまでの話がつながっていきます。連作短編集だったのか。
おちかの成長が涙もの。
そして、この章で、この話が次につながるという伏線をいろいろ作っていらっしゃるんです。うまい、うますぎます。早く次の話が読みたい。
不思議話を語る話し手と聞き手のおちかの絶妙な語りと、文章。これだけでも凄いと思える作品です。
おちかの心にこの物語たちはどんな影響を与えるんでしょうか。
謎の人物、登場した人物とのさらなる逸話など、もっともっと読みたい。
本当にすごい作品です。これはほんの序章に過ぎないとは。百物語は宮部さんのライフワークになってしまいましたね。楽しみです。
この作品は、本当に怖いのは人間の心なんですね。ゾクゾクする傑作です。