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わたしたちの過去や現在の心の琴線にふれる名作です。

小夜子は現在の専業主婦の生活から仕事をしてみようとおもいつく。
求人募集を見、面接を受け、即、合格したのは同じ大学出身の同い年の女、葵が経営する会社だった。
二人は意気投合。小夜子も厳しいけれど充実した毎日を過ごす。そして葵との友情は育ってゆく。しかし、葵の過去を知ったとき、友情にひびが入ってしまう。 

現代の小夜子のパート過去の葵のパートが交互に描かれます。
小夜子のパートに「そうだ、そうだ」と相槌を打ち、葵のパートは切なく涙がこぼれます。

過去も現代も一つひとつがいつか経験したことや、私たちの現在とだぶり、胸に突き刺さってしまう。
わたしは角田版「女たちのジハード」かと思っていましたが大きな間違いであることに気付きました。

過去のパートで葵が育ててゆく友情はほのぼのと読者を誘い込みますが、カタルシスに突きつけられます。そして、過去と現代が重なって、小夜子と葵の友情にもカタルシスが…。
と、一筋縄ではいかない作者。なぜ小夜子の現代のパートを丁寧に描いたかが、ラストに繋がってゆくのです。

小夜子がこんちくしょうと自転車をこぐシーンでは元気をもらい、葵とナナコのアルバイトが終わって帰郷するシーンは切なさに胸が一杯になる。

人はなぜ年齢を重ねてゆくのかという大きなテーマもあります。いずれもラストにわかってきます。
いやー、良かった。いじめと友情、現代社会、希望、元気などいろんなテーマをちりばめたこの小説は紛れもなく、現在を代表する小説だと思います。

本当に欲をいえばですが、少し触れられる小夜子の過去がもう少しあれば…。しかし、これを書いていくと現代のパートが活きないんですよね。

秘密の場所、渡良瀬川の川岸から、空を見てみたいなー。どんな空が広がっているんだろう。

<負けてもいいじゃん!>

ハナは37歳、恋人タケダくんに「結婚してやる」という思いのまま、結婚する事に違和感を覚える。友人チサトと始めた古着屋は順調だったが、タケダくんとの結婚話を機に今までとこれからについて、惑うことになる。

年を重ねるごとに、周りはどんどん変わっていく。あの人もこの人も。そんな中で取り残されている自分。そんな事を思ったことはありませんか。わたしも例外ではなく、そんな思いが今もあります。
変わらないといけないんだけど、変われない。変わることが大人というのであれば、まだまだ子どもの自分。つまり、ハナは自分なんですよね。だから、この作品を読むとハナに感情移入してしまうんです。

片や、専業主婦のナエの思いや、友人チサトとの仕事をめぐってのぶつかり。そんな中で、なやんでいきます。
母の急死も影響します。かたくなに自分達のために、家族のために、平凡に生きてきた母は、何を望んでいたんだろう。母の生き方も、今のハナに突きささります。

角田さんは本当に上手い作家さんです。この絶妙な会話を見よ。実に登場人物が生き生きとしています。
そして、実に心理描写が上手い。この感覚こそリアルなんですよ。友人と始めた仕事も変えたくなくても、変わらないといけない。年齢が年齢だけに結婚も突きつけられる。そんな中で、ハナはもがきます。つまり、人生の勝ち組になるために。しかし、母や妹、チサト、タケダくんなどの生き方を通じ、変わることがすべてじゃないと思い始めます。

こんなに痛い小説は、久しぶりです。ハナの生き方を通じ、ささくれ立ち、こりに凝ったわたしたちの心を解きほぐしてくれます。
そう、負けてもいいではないかと。それがハナなんです。

角田さんの「対岸の彼女」は現代の女性のリアルを描いた傑作だと思います。そして、対岸のもうひとつの傑作が生まれました。
「その人はその人になっていくしかない」
ハナはそう感じ、歩き始めます。いい作品です。


オンライン書店ビーケーワン:Presents

<最高の贈り物>

本当にいい本です。
本自体が「Presents」なのです。
生まれて一生の中で様々にいただいたものを、角田さんが切り取っています。

うまいです。
最初のプレゼントは「名前」。最後のプレゼントは「涙」。
一生のうち、どのくらいの贈り物をいただけるのかな。
心に響くものは、人それぞれに、違いますよね。
角田さん描く、こんな人生を過ごせたらなんて幸せなんでしょうか。

それぞれの話の中にある、挿絵の松尾たいこさんの描く挿絵もGood。数珠の短編集です。
こんな素敵な本に出合えて、この本こそがわたしにとっての「Presents」です。
ちなみにわたしのこれまでのプレゼントたちは、
「ビートルズ」「ラジオ」「ギター」「本」「万年筆」「手帳」「時計」「見舞い」
そして「家族」かな。

角田さんのようにうまく書けなくても、きっと誰にもあるんですよね。
最高の贈り物でした。誰かにプレゼントしたくなる本です。
【双葉社/プレゼントプレゼントプレゼントプレゼントプレゼント

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