- 2014.01.17 Friday
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「このミステリーがすごい2010年版」第2位。
「魔王」、結城中佐ふたたび。
陸軍内部の弱みをも握る結城中佐率いるD機関に対抗して、組織された「風機関」。どちらがその存在を知らしめるのか…「ダブル・ジョーカー」
何といっても、表題作が面白くわくわくしましたね。
スパイ対スパイというシチュエーションが何と言ってもすごいです。まさに食うか、食われるかの緊迫感が実にいいですね。
まあ、結果は予想通りなんですが。
戦局は次第に悪化、大陸に侵略の手を伸ばす日本。今回の舞台も上海、インドシナ、ドイツ、そしてロサンゼルスとD機関の暗躍がありますが、日本の結果を知っているので、その崩壊はどう描かれるのかと逆に、期待させてくれますね。
本当の正体を一生知らさないまま、自分を偽り、スパイとして生きていく彼ら。そうした悲哀も少し描いてほしいなと思うのは私だけでしょうか。
こうなったら、「魔王」の最後まで描いてほしいです。
タイトルはもちろん、「ラスト・ジョーカー」でどうでしょうか?
お願いします、柳さん(笑)
本年度本屋大賞第2位。やっと読むことができました。何で読まなかったのだろう。面白かった。読みだしたら止まらないノンストップ本でしたね。
主人公は、「のぼう様」と呼ばれる、城代家老成田長親。この男、何より百姓が大好きで、領民の所に行って手伝うも、領民からは嫌われているのが可笑しい。田植えをすれば、まともに植えられない。麦を踏ませれば、ろくに踏めない。でくのぼうから、親しみをこめて、ぬぼう様と呼ばれているんです。
時は小田原攻め。秀吉の大軍二万が迫り、忍城も判断を迫られますが、誰もが領民の安堵のため降伏かという時、「のぼう」は「闘いまする」と決戦を望む。あの「のぼう」が発した言葉が、領民の一致団結を呼び、家臣もその気になるというのが、見せ所。
感動するんですよ、この場面。
後は、流れるような合戦シーン。初戦は奇襲で突破するも、水攻めの中で孤立する忍城。さて、長親はどう戦うのでしょうか。
歴史好きのわたしもこの話は知らなかった。こんな話が埋もれていたなんて。
家臣団は個性的でこれまた面白いですね。そして、石田三成が総大将というのも面白かったです。
何といっても「のぼう」を見る目が爽快なんですね。大将の器とは。名将なのか、愚将なのか家臣団も疑っているというのが可笑しい。人から愛されるというということは、何よりの宝なんですね。
さて、面白かった本ですが、気づいたこと。これ、会話が現代の言葉。だから、スラスラ読めるというのもあるんですね。ですが、違和感はありません。むしろ、成功と言っていいでしょう。
キャラも一人一人が立ってます。いやー、なかなかの作家さんですね。
これは、癖になりそうです。さて、今のうちにコンプリートしとかなっくっちゃ。
2008年週刊文春ミステリーベスト10「第3位」。このミステリーがすごい!2009年版「第2位」。本屋大賞ノミネート。吉川英治文学新人賞など、数々の賞に輝いた、著者のブレイク作品です。
時代は大日本帝国が列強国から植民地を解放するという名目で仕掛けた、太平洋戦争。結城中佐の訓練のもと設置されたスパイ養成学校D機関。徹底的に鍛えられ上げた訓練生たちは、世界の都市で諜報というもう一つの戦争を戦いぬいていく。
いやー、面白い。一気読み必至の作品ですね。何よりスパイ養成学校D機関を立ち上げた、魔王と呼ばれる結城中佐の存在感が全話に盛り込まれています。かって、スパイとして暗躍。しかし、敵国にスパイ容疑で拘束され、拷問により捻じ曲げられ手、足も負傷し杖をついて歩いているという結城。その彼が、陸軍の中では反対されつつ、スパイ養成を始めるという表題作が何といっても冒頭から引き込まれる理由でしょうね。
表題作は陸軍とD機関の仲介となった佐久間という男が主人公。D機関を嫌悪しているが、いつしか陸軍からも裏切られている事実を知ることに。そして、結城中佐の秘密も明かされていきます。もはや、誰も信じられない境地なんですね。ですが、結局陸軍も出し抜く結果になるんですが、これが爽快。以降陸軍も援助せざるをえなくなるんです。
第二話以降は、D機関を巣立ったスパイたちが国内で、イギリスで、上海で暗躍するする姿が書かれています。どの話も面白い。その展開が二転三転。まさに裏の裏は表。敵と思ったら味方。味方は敵になり、さまざまな駆け引きがドキドキしますね。結末がいい具合に落としていただけるので、これまた爽快なんです。大戦中の話なので、なかなか読めない気分だったのですが、早く読めば良かったですねー。
「殺人及び自死は最悪の選択肢」と叩きこむ結城。その教えが、スパイたちに伝わっていきます。見えない存在になることがスパイ。いやー、実際にこうした諜報活動ってあるんでしょうね。そんな厳しい世界を描きつつ、極上のエンターテインメントに仕上がっています。
これは第二作「ダブル・ジョーカー」も読まなくては。未読な方はぜひぜひ。面白いですよ。